センター国語(現代文・評論・小説)満点奪取への過去問解説→最新7問
(1)センター試験国語(現代文・評論・小説)満点奪取への過去問解説→最新7問
2018センター試験が、いよいよ迫ってきました。そこで、2018センター試験国語(現代文・評論・小説)対策記事を書くことにします。センター対策としては、以下のことを注意してください。
① まず、センター対策演習は過去問のみにするべきです。模擬問題はレベル・内容の点から、やらない方が賢明でしょう。
もし、模擬試験を受けるのであれば、時間内に解く訓練の場として活用する。問題の復習は単語のチェックくらいにして、あまり熱心にやらないようにしてください。結局は、時間のムダになります。
② センター現代文は最新論点の出題が多く国公立・私立大の国語(現代文)・小論文対策にもなります。
最近の例でいえば、センター現代文では「アイデンティティ」・「自己」、「情報化社会」・「IT化社会」に関する論点が多く出題されています。これらは国公立・私立大の現代文・小論文にも、最近よく出題されるので、対策として有用なのです。
③ また、センター現代文は時間が壁となっています。しかし、ある程度のレベルの受験生が能率的・効率的に処理すれば9割、調子がよければ満点には取れるように作成されています。
センター国語は80分で大問4問をやらなければなりません。現代文2問を45分前後で処理する必要があるのです。
現代文2問は、いずれも問題文本文が3000字以上あり、設問文も長いので、読むだけでも大変です。各選択肢のチェックにも、時間がかかります。
設問を重視した解法を意識するべきでしょう。
本文を読む前に設問から先に読む。
選択肢のチェックは消去法を活用する。
これらの効率的な解法を駆使するべきでしょう。
以下では、当ブログで発表した、センター試験国語(現代文)の解説記事を、最新年度から、紹介していきます。
7問の冒頭部分やポイント部分を紹介します。
今回の記事の項目は、以下の通りです。
各項目にそれぞれの記事のリンク画像を貼っておきます。
ほとんどの記事には、問題文本文の概要があります。
(2)2017年度センター国語第1問(現代文・評論)解説
(3)2016センター国語第1問解説『キャラ化する/される子どもたち』
(4)2015センター試験国語第1問(現代文・評論文)解説・IT化社会
(5)2013センター国語第1問(現代文)解説「鐔」小林秀雄・エッセイ
(6)2012センター国語第1問解説「境界として自己」木村敏・関係性
(7)2017センター試験国語第2問・問題解説・小説の純客観的解法
(8)2008センター試験国語第2問(小説)解説『彼岸過迄』夏目漱石
(2)2017年度センター国語第1問(現代文・評論)解説
この年度の問題は、「科学論」・「科学批判」に関する最新の論点が出題されました。そして、その直後の東大国語(現代文・評論文)で、同一論点が出題されました。
従って、「センター試験現代文には、その年の、国公立・私立大学の現代文・小論文の流行論点を予告する側面がある」ということを、改めて再確認しました。
皆さんも、このことは、意識しておいてください。
上記の記事は、以下のような内容になっています。
最初の部分を再掲します。詳しくは、リンク画像・経由で、ご覧ください。
ーーーーーーーー
(1)当ブログの予想論点記事が2017センター試験国語[1]に的中(著者・論点)しました。
2016東大・一橋大・静岡大ズバリ的中(3大学ともに全文一致→下にリンク画像があります)に続く快挙です。うれしいことです。
2016・12・13に発表した当ブログの記事(「国語予想問題『プロの裏切り・プライドと教養の復権を』神里達博」→下にリンク画像を貼っておきます)が、2017センター試験国語(現代文)問題[1] (「科学コミュニケーション」・小林傳司)に、的中(著者・論点→科学論→科学コミュニケーション)しましたので、この記事で報告します。
つまり、2017センター試験に、下の記事の中で紹介・解説した小林傳司氏のインタビュー記事(朝日新聞2016年3月10日《東日本大震災5年 問われる科学》「7:教訓を生かす 科学技術、社会と関わってこそ 専門家に任せすぎるな」)に強く関連した、小林氏の論考が出題されたのです。
「2017センター試験国語[1]の『要旨』」と「当ブログ記事・的中」の説明
2017センター試験に出題された小林氏の論考の「要旨」は、以下の通りです。
科学社会学者(コリンズ、ピンチ)の見解を引用しつつ、その主張を考察する論考です。
「現在、科学の様々なマイナス面が明らかになるにつれて、『科学が問題ではないか』という問題意識が生まれてきている。しかし、科学者は、このような問題意識を、科学に対する無知・誤解から生まれた反発とみなしがちである。
だが、科学社会学(コリンズ、ピンチ)は、従来の科学者が持つこのような発想を批判する。科学は全面的に善なる存在ではないし、無謬の知識でもない、という。現実の科学は人類に寄与する一方で、制御困難な問題も引き起こす存在である(→科学の「両面価値的性格」)、と主張した。
そして、科学社会学は、一般市民への啓蒙について『科学の内容ではなく、専門家と政治家やメディア、われわれとの関係について伝えるべき』と言う。
科学社会学は、一般市民を科学の『ほんとうの』姿を知らない存在として見なしてしまっている。この『大衆に対する、硬直した態度』は、科学社会学も、従来の科学と同様である。科学社会学は、科学を正当に語る資格があるのは科学社会学としてしまう点に限界がある。」
センター試験の問題文本文(小林氏の論考)は、
① 「科学社会学者(コリンズ、ピンチ)が科学の両面価値的性格を認めている点」は賛成していますが、
② 「『科学と一般市民の関係』についての科学社会学者の主張」については、厳しく批判しています。そして、その批判で終わっています。
「では、どうしたら良いのか」という筆者の主張・結論が不明確なのです。
この点で、今回のセンター試験の第一問は、一見、読みにくい問題でした。
この②の問題の筆者(小林氏)の主張・結論は、まさに、朝日新聞のインタビュー記事の小林氏の見解だと思います。(以下で紹介します)
この記事の、
『《東日本大震災5年 問われる科学》「7:教訓を生かす 科学技術、社会と関わってこそ 専門家に任せすぎるな」』
という見出しだけでも、ある程度のヒントになります。
以下は 2016・12・13に発表した当ブログの記事 (「国語予想問題『プロの裏切り・プライドと教養の復権を』神里達博」) からの引用、つまり、朝日新聞のインタビュー記事の小林氏の見解です。
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(以下は、当ブログの前掲の記事からの引用)
専門家に望まれる態度・心掛け
「専門家主義」からの脱却
①専門家たちは、「総合的教養」・「生きた教養」を身に付ける→「専門家の相互チェック」のために
②さらに、専門家も、国民も、「民主的コントロール」を意識する(→まさに、今回のセンター試験に出題された「科学コミュニケーション」です!)
ここで参考になるのは、科学哲学者である小林傳司氏の意見です。以下に、概要を引用します。
(小林傳司氏の意見)(概要です)
(赤字は当ブログによる「強調」です。青字は当ブログによる「注」です)
「 震災(→「東日本大震災」)により科学者への信頼は大きく失墜した。学界などから様々な反省が言われたが、今では以前に戻ったかのように見える。
一つは、日本社会が「専門家主義」から脱却できないことだ。「科学と社会の対話が大切」と言いながら、原発再稼働などの政策決定過程をみると「大事なことは専門家が決めるから、市民は余計な心配をしなくてよい」という姿勢が今も色濃い。震災で専門家があれほど視野が狭いことが露見したにもかかわらずだ。
これらの課題にどう対応すればよいか。まずは、市民が意思決定を専門家に任せすぎず、自分たちの問題ととらえることだ。科学技術は、それがなければ私たちは生活ができないほど重要で強力になっている。原子力のような巨大技術ほど「科学技術のシビリアンコントロール(→民主的コントロール)」が必要だ。
専門家は、市民が基礎知識に欠ける発言をしてもさげすんではならない。専門家は明確に言える部分と不確実な部分を分けて説明する責務があり、最終的には「社会が決める」という原則を受け入れなければいけない。
日本社会は「この道一筋何十年」という深掘り型は高く評価してきたが、自分の専門を超えて物事を俯瞰(ふかん)的に見られる科学者を育ててこなかった。広い意味での「教養」が重要だと思う。」
(朝日新聞 2016年3月10日 《東日本大震災5年 問われる科学》「7:教訓を生かす 科学技術、社会と関わってこそ 専門家に任せすぎるな」)
(3)2016センター国語第1問解説『キャラ化する/される子どもたち』
この記事の冒頭部分は、以下のようになっています。
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(1)土井隆義氏の著書の出題状況
(当ブログ第1回の記事がテーマ・論点的中)
2016年センター試験国語第1問(現代文・評論文)に、最近の流行論点・テーマである「自己」「アイデンティティー」(「若者論」・「日本人論」・「日本文化論」・「現代文明論」・「現代文明批判」・「コミュニケーション論」)が、出題されました。
また、この問題は、「IT化社会」のテーマ・論点です。
このブログの第1回記事(「開設の言葉ー入試現代文の最新傾向ー重要な、気付きにくい2本の柱」)において記述した、「入試現代文の最新傾向」、つまり、「IT化社会の光と影と闇」が、出題されました。
テーマ・論点が的中しました。
この記事については、下の画像からリンクできます。
著者は、最近、注目されている気鋭の社会学者、土井隆義氏です。土井氏の著作は、過去に、以下の大学で出題されています。
2005慶応大(文)(小論文)『「個性」を煽られる子どもたち』
2009北海道大(後期・法)(小論文)『「優しい関係」に窒息する子どもたち』
2015信州大(教育)(現代文)『友だち地獄ー「空気を読む」世代のサバイバル』
このように、小論文を含めた、入試現代文・小論文の世界では、注目すべき著者でした。
そして、今年、2016年に、センター試験に『キャラする/された子どもたちー排除型社会における新たな人間像』(岩波ブックレット)から出題されのです。
(2)土井隆義氏の著書の、キーワード
土井氏は、上記の一連の著書において、
「『個性』を過剰に指向する現代社会の病理」
「人生は素質により、全て決定されると信じ込む若者」(一種の、新しい宿命主義)
「優しい関係」(摩擦・衝突を神経質に回避する傾向)
「『社会性』を喪失した子どもたち」
「『異質』の『排除』」
「子どもたちの過剰な承認願望」
「排除される不安を回避するためのスマホ依存」
「友だち関係を維持するためのイジメ」
という視点から、「現代の子どもたちの世界」を、鋭く、説得力豊かに分析しています。
(4)2015センター試験国語第1問(現代文・評論文)解説・IT化社会
この記事の冒頭部分は、以下のようになっています。
ーーーーーーーー
(1)なぜ、この記事を書くのか?
2015年度センター試験国語(現代文・評論文)に出題された佐々木氏の論考(『未知との遭遇』)は、「IT化社会の問題点」、つまり、「歴史の崩壊」・「歴史意識の衰退」・「系譜学的(体系的)知の衰退」を鋭く指摘しています。
この論点、言い換えれば、「反知性主義化」は、「IT化社会のマイナス面」・「IT化社会の影・闇」として、最近、問題化しています。佐々木氏の論考は、とても参考になるので、ここで紹介します。
また、センター試験国語(現代文・評論文)対策として、役に立つように、丁寧な解説をしていきます。
今回の記事は、以下の項目について書いていきます。記事は、約1万字です。
(2)2015センター試験国語第1問(現代文・評論文)『未知との遭遇』佐々木敦・の解説
(3)問題文本文の構成
(4)当ブログにおける「IT化社会」関連記事の紹介
(5)当ブログにおける「反知性主義」関連の記事の紹介
(6)当ブログにおける「センター試験国語(現代文・評論文)」関連の記事の紹介
(7)佐々木敦氏の紹介
(2)2015センター試験国語第1問(現代文・評論文)・『未知との遭遇』佐々木敦・の解説
(問題文本文)(佐々木敦氏の論考)
(概要です)
(【1】・【2】・【3】・・・・は、本文に付記されている段落番号です)
【1】ネット上で教えを垂れる人たちは、特にある程度有名な方々は、他者に対して啓蒙的な態度を取るということに、一種の義務感を持ってやってらっしゃる場合もあるのだろうと思います。僕も啓蒙は必要だと思うのですが、どうも良くないと思うのは、ともするとネット上では、啓蒙のベクトルが、どんどん落ちていくことです。たとえば掲示板やブログに「○○について教えてください」などという書き込みをしている「教えて君」みたいな人がよくいますが、そこには必ず「教えてあげる君」が現れる
(5)2013センター国語第1問(現代文)解説「鐔」小林秀雄・エッセイ
この記事の冒頭部分は、以下のようになっています。
ーーーーーーーー
(1)~(2)は、前回の記事の(「センター試験現代文対策ー3・11後の最新・傾向分析①ー2012」)の(1)~(2)の概説です。(→この部分は省略します)
前回の記事を読んだ方は(3)から読んで下さい。
(3)2013年度センター試験現代文[大問1](小林秀雄「鐔」)の、出題意図、本問作成者の問題意識の探究
【1】小林秀雄氏の紹介、入試出題状況
小林秀雄氏は、近代日本の文芸評論の確立者です。
個性的な、少々切れ味の良い挑発的な文体、詩的雰囲気のある表現が、特徴です。
西洋絵画の批評や、ランボー、アラン等の翻訳にも、業績を残しました。
入試現代文(国語)の世界では、20年くらい前までは、トップレベルの頻出著者(ほぼ全ての難関大学で、最低1回は出題されていました。)でした。
現在は、トップレベルではないですが、やはり、頻出著者です。
最近の入試に全く出題されていない、ということは、ありません。
最近でも、以下の大学で出題されています。
大阪大学『考えるヒント』
明治大学『文化について』
国学院大学『無常という事』
明治学院大「骨董」
【2】この問題に対する一般的評価、それらに対する私の意見
この問題については、
「かつての入試頻出著者ではあるが、小林秀雄氏の文章は今の受験生には難解過ぎて、少々、不適切な問題であった」
という評価が多いようです。
本当に、そうなのでしょうか。
私は、そうは思いません。
単語のレベルは少々高いです。
しかし、最近、京都大学・大阪大学・一橋大学・早稲田大学(政経)(教育)(国際教養)(文化構想)・上智大学・明治大学(法)・青山学院大学・中央大学(法)・法政大学等の現代文で流行が続いている擬古文(明治・大正期の文章)、
慶應大学・国公立大学等の小論文で頻出の福沢諭吉の論考、と比較して、
全体的に分かりやすい名文だと感じました。
丁寧に読んでいけば、受験生にとっても、難解ではないはずです。
本文のレベルを考慮して、設問は、例年より著しく平易になっています。
しかし、本番直後では、平均点が例年より低下したことが、マスコミやウェブ上で、話題になりました。
本文の丁寧な読解を諦めた受験生が、多かったのでしょう。
受験生の粘りや集中力のなさを、問題とするべきです。
私は、本問を難問・悪問と評価することは、できません。
また、本問の問題文本文は、論理が飛躍しているので、試験問題として不適切という批判もありました。
笑うべき批判です。
今回の本文は、「エッセイ」・「随筆」なので、論理飛躍がある程度あるのは当然です。
受験生は、著者の気持ち・感性・感想に、寄り添って読解して行けばよいのです。
つまり、本問に対する様々な批判は、小林秀雄氏のイメージに固執したムード的なものか、的外れなものです。
これから、そのことを、検証していきます。
【3】問題文本文のポイント
問題文本文は、4つのブロックに分かれています。
私が注目したのは、第1ブロック第3段落の記述です。
筆者小林秀雄の主張が、ここにあります。
以下に引用します。
「誰も、身に降りかかる乱世に、乱世を以て処する事は出来ない。
人間は、どう在ろうとも、どんな処にでも、どんな形ででも、平常心を、秩序を、文化を捜さなけれぱ生きて行けぬ。
そういう止むに止まれぬ人心の動きが、兇器の一部分品を、少しずつ、少しずつ、鐔に仕立てて行くのである。」
現代も、まさに、「乱世」です。
日本国内では、3・11東日本大震災、福島原発事故、不景気、非正規雇用問題、年金破綻問題、少子化問題、高齢化問題、そして、熊本地震等の問題が山積しています。
世界レベルでは、経済問題、テロ問題、難民問題、地球環境問題、温暖化等の難問だらけです。
つまり、日本でも、世界レベルでも、政治的・経済的・社会的に大混乱が続いています。
このような「乱世」の中でも、人々は、「乱世」のまま生きていくことは、できません。
「秩序」、「安定」、さらには、レベルの高い「精神生活」が必要不可欠です。
3・11東日本大震災の時にも、体育館等に避難していた被災者達は、読書への欲求があったと聞いています。
また、少し落ち着いた時には、近くの書店に訪れる人が多かったようです。
今現在の人々も、「乱世を乱世のままに生きていくこと」は、できないのです。
受験生は、この第1ブロック第3段落を、しっかり読む必要があります。
この部分が、この問題のキーセンテンスになっています。
そして、複数の設問で、このキーセンテンスを聞いてきています。
第2~4ブロックは、このキーセンテンスの具体例であり、本文も設問も、とても分かりやすい簡明な構造になっています。
つまり、本問は、決して、難問でも悪問でもないのです。
「本問の論考が、小林秀雄氏の論考にしては、今まで、頻出出典にならなかったのは、全体構造が単純だったからではないか」、
と私は推測します。
難問か否かは、題材となった文章と設問を精査して、客観的に考えるべきです。
著者のイメージから軽々に論ずるべきではないと思います。
ましてや、受験生の平均点や感想は、一応の目安に過ぎません。
悪問という評価は、よほどのことです。
(6)2012センター国語第1問解説「境界として自己」木村敏・関係性
この記事の前半部分は以下のようになっています。
ーーーーーーーー
(3)2012年度センター試験国語第1問(現代文)・(「境界としての自己」木村敏)の、出題意図、本問作成者の問題意識の探究
木村敏氏は、精神病理学者、京都大学名誉教授です。
臨床哲学的精神病理学の立場に立ち、現代の「科学主義」・「客観主義」、つまり、「現代の科学的常識」・「客観性重視主義」に対して異議を申し立てる姿勢を保っています。
木村氏は、最近の難関大の現代文(国語)・小論文における入試頻出著者です。
最近では、早稲田大学(法学部)(商学部)、上智大学、法政大学等で出題されています。
……………………
今回の問題は、少々、分かりにくい内容になっています。
しかし、実は、本問の「自己(アイデンティティ)の相対化」・「自己(アイデンティティ)の否定」、そして、これと表裏一体の、「自己と他者の境界の重視」・「関係性の重視」「間主観性の重視」は、最近流行の現代文・小論文の論点・テーマです。
これらの論点・テーマは「自己(自分)」・「アイデンティティ」・「個性」・「私らしさ(自分らしさ)」の、過度の重視が目立ってきた10年くらい前(キラキラネームの氾濫が目につく頃)から出題され始めました。
……………………
また、2011年には、早稲田大学(法学部)で、今回、センター試験現代文(国語)の問題として検討中の、木村敏氏の哲学的論考(『自分ということ』→この本も、最近流行の現代文・小論文の入試頻出出典)が出題されました。
この論考のキーセンテンスは、以下の部分です。
「『人と人のあいだ』が、単なる空白の隙間ではなくて、ずっしりと重みのある、実質的な力の場である。」
「音楽の生命は、音符に書かれたひとつひとつの音にあるのではなくて、音と音の間の『ま』にはたらいている湧きあがるような時間のたわむれにあるのだろう。」
「自分と相手との『あいだ』が、二人の真に『会い合う』場所となりうるためには、そしてこの『あいだ』の場所が、自分と相手の『自己』を同時に成立させる自覚の場所となりうるためには、そこに『ま』と呼ばれるようなはたらきが十分にはたらいて、二人がそれぞれ自己自身の歴史を生きていながら、その『あいだ』においては、共通の唯一の時間の生成に関与しあっている、ということがなくてはならないのではないのだろうか。」
最後の引用文の前半部分に、2012年度センター試験と全く同一内容の、
「この(自分と相手との)『あいだ』の場所が、自分と相手の『自己』を同時に成立させる自覚の場所」
という、キーフレイズがあります。
……………………
著者が主張する「自己(アイデンティティ)概念の相対化」は、「自己(アイデンティティ)概念」そのものの否定では、ありません。
一般的・常識的な「自己(アイデンティティ)概念」から派生する、
「個人の深刻な孤立化」、
各種の(「自己概念」の誤解に基づく)「傲慢」、
「共同体軽視・無視・嫌悪」、
「倫理・モラルの軽視・無視」、
等のマイナス面を回避するために「新たな自己(アイデンティティ)概念」を模索・構築・創造しようするものです。
(7)2017センター試験国語第2問・問題解説・小説の純客観的解法
この記事の冒頭部分は、以下のようになっています。
ーーーーーーーー
2017年センター国語第2問は、素直に解けば、20分程度で満点の取れる問題です。以下に、今回の問題を通して小説問題の効率的な解法を説明していきます。
(1)2017年センター試験国語第2問(小説)の解説
2017年センター試験国語の小説問題は、文語文・擬古文的で読みにくい側面はありますが、設問・選択肢が素直なので、良問だと思います。
今後の小説問題対策として、有用な問題と考えてたので、今回、記事化することにしました。
以下では、次の項目を解説していきます。
今回の記事は、約1万2千字です。
(2)「小説問題解法」のポイント・注意点
(3)「センター試験小説問題」の解法のポイント・コツ
(4)2017センター試験国語第2問の解説→本文概要と解説解答
(5)今回の小説問題本文の「あらすじ」
(6)野上弥生子氏の紹介
(7)当ブログの「夏目漱石」関連記事の紹介・一覧
(8)当ブログの「小説問題解説」関連記事の紹介・一覧
(9)当ブログの「センター試験国語解説」記事の紹介・一覧
(10)2017センター試験国語第1問に「当ブログの予想論点記事(科学論)」が的中(著者・論点)したこと、についての報告記事、の紹介
(2)「小説問題解法」のポイント・注意点
小説・エッセイ(随筆)問題の入試出題率は、相変わらず高く、毎年約1割です。
まず、センター試験の国語では、毎年、出題されます。
次に、難関国公立・私立大学では、頻出です。
東大・京都大・大阪大(文)・一橋大・東北大・広島大・筑波大・岡山大・長崎大・熊本大等の国公立大、早稲田大(政経)(文)(商)(教育)(国際教養)(文化構想)、上智大、立命館大、学習院大、マーチ(明治大・青山学院大・立教大・中央大・法政大)(特に文学部)、女子大の現代文では、特に頻出です。
また、難関国公立・私立大学の小論文の課題文として、出題されることもあります。
小説・エッセイ問題については、「解法(対策)を意識しつつ、慣れること」が必要となります。
本来、小説やエッセイは、一文一文味わいつつ読むべきです。(国語自体が本来は、そういうものです。)が、これは入試では、時間の面でも、解法の方向でも、有害ですらあります。
あくまで、設問(そして、選択肢)の要求に応じて、主観的文章を(設問の要求に応じて)純客観的に分析しなくてはならないのです。
(国語を純客観的に分析? これ自体がパラドックスですが、ここでは、この問題には踏み込みません。日本の大学入試制度の問題点です。)
この点で、案外、読書好きの受験生が、この種の問題に弱いのです。(読書好きの受験生は、語彙力があるので、あとは、問題対応力を養成すればよいのです。)
しかし、それほど心配する必要はありません。
「入試問題の要求にいかに合わせていくか」という方法論を身に付けること、つまり、小説・エッセイ問題に、「正しく慣れる」ことで、得点力は劇的にアップするのです。
そこで、次に、小説・エッセイ問題の解法のポイントをまとめておきます。
【1】5W1H(つまり、筋)の正解な把握
① 誰が(Who) 人物
② いつ(When) 時
③ どこで(Where) 場所
④ なぜ(Why) 理由→これが重要
⑤ なにを(What) 事件
⑥ どうした(How) 行為
上の①~⑥は、必ずしも、わかりやすい順序で書いてあるとは限りません。
読む側で、一つ一つ確認していく必要があります。
特に、④の「なぜ(理由)」は、入試の頻出ポイントなので、注意してチェックすることが大切です。
【2】登場人物の心理・性格をつかむ
① 登場人物の心理は、その行動・表情・発言に、にじみ出ているので、軽く読み流さないようにする。
② 情景描写は、登場人物の心情を暗示的・象徴的に提示している場合が多いということを、意識して読む。
③ 心理面に重点を置いて、登場人物相互間の人間関係を押さえていく。
④ 登場人物の心理を推理する問題が非常に多い。その場合には、受験生は自分をその人物の立場に置いて、インテリ的に(まじめに→さらに言えば、人生重視的に)、一般的に、考えていくようにする。
⑤ 心理は、時間とともに流動するので、心理的変化は丁寧に追うようにする。
以上を元に、いかに小説問題を解いていくか、を以下で解説していきます。
(3)「センター試験小説問題」の解法のポイント・コツ
【1】先に設問をチェックする
センター試験の小説問題の本文は、難関大学の小説問題か、それ以上の長文の場合が多いのです。
そこで、センター試験小説問題を効率的に解くための1つ目のコツは、本文を読む前に設問(特に、設問文)に目を通すことです。
すぐに設問文に目を通し、「何を問われているか」を押さえてください。
「設問で問われていること」を意識しつつ読むことで、時間を短縮化することができます。
【2】消去法を、うまく使う
センター試験の小説問題の選択肢は、最近は、少々、長文化しています。
しかし、明白な傷のある選択肢が多いので、消去法を駆使していくことで、効率的に処理することが可能です。
(8)2008センター試験国語第2問(小説)解説『彼岸過迄』夏目漱石
夏目漱石は、入試頻出著者です。この問題も、よく検討しておくべきでしょう。
この問題についても、前記の「小説の純客観的解法」により丁寧に解説しました。
ーーーーーーーー
今回の記事は、これで終わりです。
次回の記事は、約1週間後に発表の予定です。
ご期待ください。
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