現代文・小論文キーワード・最新オススメ本『現代思想史入門』船木享
現代文・小論文キーワード・マスターのためのオススメ本→『現代思想史入門』(船木享・ちくま新書)→2017早大人間現代文に、早くも4000字の論考が出題されました。
この記事の構成は、以下のようになっています。
(1)キーワードをマスターしよう→これこそが、効果的・合理的な学習法
(2)本書をオススメする理由→6つの理由
(3)本書の中から、これから出題が予想される論考の引用→キーワードを赤字で「強調」しました
(4)目次など、本書の構成の詳細→予想問題として、注目するべき項目を赤字で指摘しました
(1)キーワードをマスターしよう→これこそが、効果的・合理的な学習法
これから、私が最近、キーワード集として使用を始めて、かなり役に立っている新刊本を紹介していきます。
それは、『現代思想史入門』(船木亨)(ちくま新書・2016年発行)(1200円+税)(約570ページ)です。
以前の記事(→下に、リンク画像を貼っておきます)で紹介したオススメ本と組み合わせて利用すると、より、よいと思います。
入試現代文(国語)・小論文の得点力アップのためには、キーワードのマスターが必要です。
私は、現代文・小論文の長年の指導経験から、キーワードのマスターや語彙力・単語力の増強をしないで、問題演習をすることは無意味であると確信しています。
評論文が読めるようになるための近道は、独特で難解な用語を、根本から理解することです。
そのことは、論点・テーマを理解することにも、なります。
キーワードや語彙・単語の知識が不充分なまま、現代文・小論文の問題を解いてみても、結局は、それらの単語力不足を痛感するだけです。
つまり、まったく、時間の無駄な消費なのです。
ここで言う「マスター」とは、「理解」の後に「暗記」することを意味します。
そうでなければ、「暗記」しても、すぐに忘れてしまいます。
また、真に「理解」しなければ、入試の現場で応用することは、できません。
問題は、キーワード・マスターのために、どのような本(参考書・問題集)を選択するか、です。
これが、入試合格のための、重要なポイントです。
勉強時間を増やすことも重要ですが、参考書・問題集選択も重要なポイントなのです。
「参考書選択」については、私は、少々理解に時間がかかっても、きちんとした内容のある本を選択するべきだと思います。
「簡単に、すぐに分かること」を売り物にしている本は、早く読めるかもしれませんが、「真の理解」・「確実な暗記」には、つながりません。
このことは、皆さんにも、思い当たる経験があると思います。
(2)本書(『現代思想史入門』船木享)をオススメする理由→6つの理由
私は、以下の6つの理由により、本書をオススメします。
理由を列挙した後で、それぞれの理由について詳しく説明します。
① 筆者が一流の哲学者で、入試頻出著者だからです。
② 丁寧に、分かりやすく書かれているからです。
③ 本書の基本的方針・構成が素晴らしいからです。
④ 本書が「引く事典」であると同時に、「読む事典」にもなっているからです。
⑤ 本書が、最新キーワードを網羅的に取り上げているからです。
⑥ 「目次、事項索引、人名・書名索引」が丁寧に、詳細に作成されているからです。これらは、全部で約30ページもあります。
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① 本書をオススメする第1の理由は、筆者が一流の哲学者で、現代文・小論文の入試頻出著者だからです。
船木亨氏は、哲学者です。専修大学文学部哲学科教授で、放送大学客員教授です。専攻はフランス現代哲学です。哲学は入試頻出分野です。
最近の現代文・小論文における入試頻出著者です。
実際に、2016年に発行された『現代思想史入門』から、約4000字の論考が、早くも、2017早稲田大学人間科学部の国語(現代文)に出題されています。
出題された部分は、第1章「生命―進化論から生命政治まで」の一節です。
内容は、「ダーウィンの進化論が現代思想に与えた重大な影響」についてです。
今の時期は、まだ本年度の入試情報が出そろっていません。これから、新たな情報が出そろってきて、本書からの出題情報がありましたら、この記事に追加の記述をする予定です。
ともあれ、本書は将来的に、現代文・小論文の頻出出典になるような格調の高い論考です。
最新キーワード集として有用な上に、将来的に予想問題の宝庫の可能性もあります。
② 本書をオススメする第2の理由は、丁寧に、分かりやすく書かれているからです。
私が、本書を、すすめる第2の理由は、本書が、ある程度、大学入試の現代文(国語)・小論文を意識して、受験生レベルにも理解できるように丁寧に分かりやすく書かれているからです。
つまり、筆者は、学術的な、難解な思想専門用語をなるべく回避して、広く社会一般に向けて、思想史や自己の見解を語ろうとしています。
従って、安心感を持って読み進めることができます。
③ 本書をオススメする第3の理由は、本書の基本的方針・構成が素晴らしいからです。
本書の基本的な方針は、以下のようになっています。 アマゾンの「ブック紹介」から引用します。
( 赤字は当ブログによる「強調」です )
「 二〇世紀のイデオロギー対立は終焉したが、新たな思想・哲学が出現していないように見える。近代のしがらみを捨てて、いま一度、現代思想の諸地層をもっとつぶさに見ていこう。そこに新たな思考が芽生えるきっかけが見つかりそうだ。生命、精神、歴史、情報、暴力の五つの層において現代思想をとらえ、それぞれ一九世紀後半あたりを出発点として、五度にわたってさらいなおす。現代思想の意義を探りつつ、その全体像を俯瞰する、初学者にもわかりやすい新しいタイプの入門書。」 ( アマゾンの「ブック紹介」より引用 )
『現代思想史入門』の「はじめに」には、次のような記述があります。
「 本書が採用するのは、地層学になぞらえられた思想の流れと、それに断層を見いだしていく仕方である。
重要なのはその時期を生きているひとびとの脳裏に生まれてくる発想であり、その表現の変遷である。おなじ言説が違う意味で使われるようになり、違う言説がおなじ意味で使われ続ける。そのありさまを知ることが、その時期の「思考」を理解するということである。
そうした理由から、生命、精神、歴史、情報、暴力という五つの観点をとって五つの層と成し、それぞれ一九世紀後半くらいの出発点から、現代思想の歴史を五度にわたってさらえなおすことにした。それらの層の記述を順に重ねていきながら、「現代思想」と呼ばれるべきものの、それぞれの意義とその全体像が見えてくるようにしたつもりである。(→5つの視点(キーワード)から、思想史・思想界を分析・概観するということです)
それぞれの章に対応するが、
その第一の層は、進化論の衝撃から現代の生命政治にいたる生命概念の地層である。他の生物と共通する「生命」の新たな意味が、思想的にも政治的にもひとびとを捉えていく。
第二の層は、それが宇宙進化論にまで進むあいだに定義されなおしていく人間概念の地層である。生命に対抗して、宗教や思想を形成してきた精神の地位を復活させようとした数々の試みである。
第三の層は、そのとき変形されていく歴史概念の地層である。人間の歴史としてではなく、すべてが歴史として説明されるようになる結果として生じた「知」の変遷である。
第四の層は、歴史が普遍的登記簿になってだれもが参照利用できるようになったポストモダンの地層である。情報化し、価値の相対化によって生じた現代社会の様相である。
第五の層は、人間が新たな使命を与えられながらそこへと消滅していく機械概念の地層である。理性的主体としての「人間」が、社会形成においては「暴力」に囚われていたのに対し、機械との関わりにおいて生きられるようになっていく。
これらの五つの層のそれぞれに見いだされるのは、社会状況と人間行動の捉えがたさ、混沌と冥(くら) さであるが、それらを重ねあわせてみることによって、この一五〇年の現代思想の重畳した諸地層のさまと、それぞれのよってきた由来や経路を捉えることくらいはできるだろう。」
④ 本書をオススメする第4の理由は、本書が「引く事典」と同時に、「読む事典」にも、なっているからです。
読み物としてもボリュームがあります。
約570ページもあり、読みごたえがあります。
そして、筆者が分かりやすい比喩や、適切な引用をしているので、読みやすくなっています。
「読む事典」にもなっていることで、そのまま、現代文・小論文の問題文本文を読解する訓練になります。
現在の入試頻出著者の文章を、どんどん読めるのです。
⑤ 本書をオススメする第5の理由は、最新のキーワード・論点を網羅的に取り上げているからです。
IoT(イォット)についても、詳しい説明があります。
これは、本書が2016年度に発行しているからこそ可能なことであり、他のキーワード集には決して真似のできないことです。
そのために、説明が、現代という時代背景を踏まえた、分かりやすい正確なものになっています。
また、大学の教員の現在の問題意識を知ることができます。
これは、入試現代文・小論文において、とても有利になります。
⑥ 本書をオススメする第6の理由は、「目次、事項索引、人名・書名索引」が、丁寧に詳細に作成されているからです。
これらの「目次、事項索引、人名・書名索引」は、小さな活字で、全部で30ページ近くもあります。
本書の「目次」の大筋は、以下のようになっています。
序章 現代とは何か
第1章 生命―進化論から生命政治まで
第2章 精神―宇宙における人間
第3章 歴史―構造主義史観へ
第4章 情報―ポストモダンと人間のゆくえ
第5章 暴力―マルクス主義から普遍的機械主義へ
なお、本書の詳細な目次については、この記事の最後に、要注意事項は赤字化して、引用しています。
この種の字典・解説書物・参考書は、「索引も命」です。
手に取ると分かりますが、索引だけで、かなりのページです。
索引を、一通りめくるだけでも、手間が、かかります。
しかし、それがいざ、特定の項目を調べる時には役立つのです。
索引を見ていくだけでも分かりますが、大学入試現代文・小論文における重要単語は、特に説明が丁寧になっています。
いくつか、参照ページ数の例を挙げます
「アイデンティティ」→15箇所、
「解釈」→25箇所、
「記号」→15箇所、
「構造主義」→40箇所、
「進化論」→45箇所、
「欲望」→30箇所、
これらの単語は、入試頻出キーワード・論点ですが、かなり難解です。
しかし、これだけのページを読んでいけば、理解が進むと思います。
キーワードの多面的理解が可能になります。
なお、前述のように、私は、本書から、来年度以降の入試現代文・小論文に出題される可能性が高いと考えています。
そこで、今後、出題が予想される箇所について、この後に、幾つか、解説していきます。
(3)今後、出題が予想される論考→2箇所(ほんの一例です)
( 概要です )
( 赤字は当ブログによる「強調」です )
( 青字は当ブログによる「注」です )
①【 第1章 生命 4 生命政治 生と統計・生と死 】
「いまのひとびとには、健康のためにみずから進んで隷属しようとする思考があり、それを促すための膨大な情報が流されている。厚生権力は、行動ばかりでなく特定の思考を促進して、自由で平等であるはずのひとびとをいいなりにしようとしている。
喫煙も肥満も運動不足も、一定割合のひとに深刻な状態をもたらすのは確かである。それは統計学的に正しい。だが、だからこそ逆に、統計学的には、一定割合のひとは、それにもかかわらず健康であり続け、あるいはほかのことが原因で死ぬのである。「裏は真ならず」、喫煙も肥満も運動不足も、それを解消すればするほど健康になるというわけではない。
あるひとたちの初期のガンを切除させるために、自分も毎年のようにX線検査を受け、それがもとでガンになる確率を高めていく、しかも自分についてはしばしば末期ガンでしか発見されないというのは、一体どのような取引なのであろか。喫煙しているひとが、肺ガンで死ぬ確率よりその他の原因で死ぬ確率が高いにもかかわらず、好きな喫煙をやめてしまうというのは、一体どのような取引なのであろうか。似たようなことだと思うのだが、風呂で水死する確率が高齢者は高いからといって(2014年に4866人の9割)、かれらが風呂に入るのを禁じるべきだと、はたしてわれわれは考えるだろうか。
厚生権力はこのように「ひとの生命を救う」というスローガンのもとに、こまごまとした生活の指針を発してきた。ひとが何のために生まれ、なぜ死ななければならないかについては答えられないのに、すべてのひとを「死に対する戦争」に巻き込んで、生きているあいだのすべてを健康に捧げるようにと強制する。それは、それぞれのひとに自分の身体を配慮させることによって、人間であるとはどういうことかについての思考の枠組を変更させようとしているともいえる。
……………………………
(当ブログによる解説)
つまり、「人生」=「常に、自分の健康のみに注意」、というバカバカしい展開になるのです。
今は、まさに、一部の人々は、この状況になっています。
病人でもない人々が、日々、「自分の将来の病気への不安」に思い煩うということです。
一種の自主的な「精神的幽閉」です。
見事な、反知性主義的状況と評価できます。
②【第5章 暴力 4 ポスト・ヒューマニズム 機械としての人間】
「自然と文化を分けて考える場合、機械はまさに人間の作るものだから文化であるが、ガリレイやデカルトによって、科学が研究すべき自然もまた機械であるとみなされた。「宇宙は巨大な時計のようなものだ」というのであるが、人間が作ったものをモデルにして自然を考えはじめたのに、その自然のなかの機械が人間をも作りだしたと考えることになるのである。
当初は、人間精神は、機械ではないと考えられていた。自然法則を数学を使って見いだして、それを応用して機械をつくるくらいであるから、機械とおなじ本性のものであるはずはない。何かを創造したり、発見したりすることのできる機械はあり得ないとされていた。それに対し、18世紀に、ラ・メトリの『人間機械論』という書物が現われた。「人間機械論」とは、宇宙や自然は機械だとする勢いで、人間身体をも機械とみなし、そのように認識する精神の働きも、 脳という機械の働きにすぎないと主張する思想である。
ラ・メトリ以降も、その復刻版にすぎないような思想がつぎからつぎに出てきて、現在では脳科学と呼ばれている。現代の生物学者ドーキンスも、進化の過程で意識が自然発生したと述べていたが、進化を認識するほどの精神が進化によって発生する理由は、進化論のなかには見あたらない。現代の宇宙物理学者ホーキングも、宇宙とはみずからを認識する知性を宇宙のなかに作りだすと述べていたが、つじつまあわせ以上の何があるのか。
もし、人間精神をそのまま脳という機械であるとみなすなら、機械とみなすその認識の働きを、表象の生産という機械の効果にしてしまう。(→この辺から、意味不明になっています。筆者の論考の文脈が混乱しているのではなく、脳科学の論理に混乱・こじつけがあるのです。) すると、機械として表象されたものは、脳という機械が作りだした効果にすぎないのだから、機械として理解された脳自体が何のことか分からなくなってしまう。それでは脳の説明にはなっていない。それは、何かが分かったかのようなイメージだけを与えてくれる混乱思考なのである。」
……………………………
(当ブログによる解説)
この論考は、「脳科学批判」として秀逸だと思います。
最近では、機械的人間観に基づく脳科学は暴走気味で、オカルト的な側面さえ感じるようになっています。
この暴走気味の脳科学に対しては、批判的な論考が散見されるようになってきています。
「脳科学批判」は、近いうちに、入試流行論点になると思います。
この点については、近日中に、このブログで予想論点記事を発表する予定です。
(4)本書の目次の詳細(本書からの引用)→要注意箇所の指摘→赤字で「強調」しました
( 赤字は当ブログによる「強調」です )
「 目次
はじめに
今日を読み解く思想/近代の行きづまり/ツリーからリゾームヘ/現代思想の諸地層
序章 現代とは何か
1 近代の終わり
ソーカル事件/思想の難解さ/宴のあと
2 現代のはじまり
時代としての〈いま〉/一九世紀なかばの生活/歴史のなかに入っていく哲学/シェリー夫人の「フランケンシュタイン」/われわれのなかの怪物
第1章 生命ーー進化論から生命政治まで
1 進化論→(この部分が、前述のように、2017早稲田大学人間科学部・国語(現代文)に出題されました)
生物学と自然科学/ドリーシュの「生気論」/ダーウィンの「進化論」/哲学から科学が独立する/ヘッケルの「系統樹」
2 優生学
優生思想/ゴールトンの「優生学」/タブーとなった優生学/出生前診断
3 公民権運動と生命倫理
アメリカ公民権運動/フェミニズム/生命倫理/生命倫理のその後
4 生命政治
医療のアンチ・ヒューマニズム/フーコーの「ビオ-ポリティーク」/人口政策/大病院の起源/臨床医学の病気観/政策と産業のための医療政策と産業のための医療/病人の側から見た病院/予防医学/生と統計/死と生/病気における苦痛/フーコーの「狂気の歴史」/健康な精神なるもの/排除と治療
5 トリアージ社会
知と権力の結合/ベンタムの「パノプティコン」/アガンベンの「剥きだしの生」/生命の数/統計的判断の不条理/道徳の終焉/国家と健康/神なき文化的妄信
第2章 精神――宇宙における人間
1 進化論の哲学
スペンサーの「文明進化論」/ジェイムズの「プラグマティズム」/ベルクソンの「創造的進化」/ホワイトヘッドの「有機的哲学」/ビッグバン仮説/宇宙進化論/宇宙と神/歴史は進化の普遍的登記簿に
2 西欧の危機
シュペングラーの「西洋の没落」/フッサールの「西欧的なもの」/新たな哲学へ
3 生の哲学
存在と生/ディルタイの「解釈学」/ギュイヨーの「生の強度」/ニーチェの「ニヒリズム」/神の死
4 人間学
シェーラーの「宇宙における人間の地位」/文化人類学/レヴィ=ストロースの「構造人類学」/野生の思考/哲学的人間学
5 実存主義とは何だったのか
有神論と無神論/サルトルの「実存主義」/ハイデガーの「アンチ・ヒューマニズム」/存在論的差異/死に向かう存在/存在と言葉/存在か無か/〈わたし〉と〈もの〉/メルロ・ポンティの「両義性の哲学」/進化と宗教
第3章 歴史――構造主義史観へ
1 歴史の歴史
古代・中世・近代/歴史の概念/ヘーゲルの「歴史哲学」/ポパーの「歴史主義の貧困」/宇宙の歴史と歴史学/ナチュラルヒストリー/存在したもの/普遍的登記簿/歴史とポストモダン
2 現代哲学
哲学の終焉のはじまり/哲学の四つの道/哲学という思想/生か意識か/現象学/フッサールの「現象学的反省」/時間性/ベルクソンの「純粋持続」/ドゥルーズの「差異の哲学」/現代哲学の終焉
3 論理実証主義
心理学と心霊学/フレーゲの「意味と意義」/ウィトゲンシュタインの「語り得ないもの」/英米系哲学
4 構造主義
歴史言語学派/ソシュールの「差異の体系」/構造主義の出発/構造主義の三つの課題/ロラン・バルトの「エクリチュール」/構造主義的批評/フーコーの「エピステーメー」/構造主義的歴史/フーコー学
5 象徴から言語へ
メルロ=ポンティの「生の歴史」/象徴と記号/フーコーの「人間の終焉」
第4章 情報――ポストモダンと人間のゆくえ
1 ポストモダニズム
建築のポストモダン/メルロ=ポンティの「スタイル」/ベンヤミンの「アウラ」/芸術のポストモダン/文学のポストモダン/近代文学/映画のポストモダン
2 ポストモダン思想
リオタールの「ポストモダンの条件」/大きな物語/思想のポストモダン/ポスト構造主義/デリダの「脱構築」/ロゴス中心主義/デリダ=サール論争/前衛とポストモダニスト/状況なるもの/ポストモダン思想のその後
3 情報化社会論
ダニエル・ベルの「イデオロギーの終焉」/アルチュセールの「国家イデオロギー装置」/トフラーの「未来学」/ボードリヤールの「シミュラークル」/道徳と芸術のゆくえ/価値の相対化/マンフォードの「ポスト歴史的人間」
4 世界と人間とメディア
ルネサンス/世界の発見/人間の発見/時計の発明/大衆の出現とマスメディア/大衆社会論/マクルーハンの「メディアはメッセージである」/文明進歩の地理空間/帝国とグローバリゼーション/管理社会論
5 マルクス主義と進歩の終わり
文明の終わり/マルクスの「共産主義革命」/資本主義社会/共産主義社会/歴史の過剰と欠如/人間の脱人間化と世界の脱中心化/サルトルの「自由の刑」/哲学のゆくえ
第5章 暴力――マルクス主義から普遍的機械主義へ
1 革命の無意識
五月革命/ライヒの「性革命」/精神分析/フロイトの「無意識」/エディプス・コンプレックス/精神分析のその後/ラカンの「鏡像段階」/構造化された無意識/どのような意味で構造主義か
2 フランクフルト学派
ベンヤミンの「暴力論」/神的暴力/亡命ユダヤ人思想家たち/アドルノとホルクハイマーの「啓蒙の弁証法」/フロムの「自由から逃走」/マルクーゼの「人間の解放」/資本主義からの逃走
3 アンチ・オイディプス
ドゥルーズとガタリの「欲望する機会」/狂人たち/無意識は表象しない/国家/野生と野蛮/資本主義社会/メルロ=ポンティの「現象的身体」/マルクスの「非有機的肉体」/フロイトの「死の衝動」/アルトーの「器官なき身体」/ドゥルーズとガタリの「千のプラトー」/自由から逃走へ
4 ポスト・ヒューマニズム
現代フランス思想/ニーチェの「神の影」/機械としての人間/カフカの「エクリチュール機械」/自然と文化の二元論/機械としての人間/カンギレムの「生命と人間の連続史観」/機械一元論哲学/ドゥルーズとガタリの「普遍的機会主義」
5 機械と人間のハイブリッド
ハラウェイの「サイボーグ宣言」/女性/人間はみな畸形である/ハラウェイの「有機的身体のアナロジー」/機械と生物のネットワーク/死の衝動と生の強度/生の受動性
おわりに
今日の思考/哲学の栄枯盛衰/非哲学の出現/現代哲学から現代思想へ/現代思想の諸断層
あとがき
事項索引
人名・書名索引
(5)筆者紹介
船木 亨 (ふなき とおる)
1952年東京都生まれ。東京大博士(文学)。東京大学大学院人文科学研究科(倫理学専攻)博士課程修了。専修大学文学部哲学科教授、放送大学客員教授。専攻はフランス現代哲学。
著書として、
『ドゥルーズ』(清水書院 Century books 人と思想 1994)、
『ランド・オブ・フィクション ベンタムにおける功利性と合理性』(木鐸社 1998)、
『メルロ=ポンティ入門』(ちくま新書 2000)、
『<見ること>の哲学 鏡像と奥行』(世界思想社 2001)、
『デジタルメディア時代の《方法序説》 機械と人間とのかかわりについて』(ナカニシヤ出版 2005)、
『進化論の5つの謎 いかにして人間になるか』(ちくまプリマー新書 2008)、
『現代哲学への挑戦』(放送大学教育振興会 2011)、
『差異とは何か <分かること>の哲学』(世界思想社、2014)
など。
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今回の記事は、これで終わりです。
次回の記事は、約1週間後の予定です。ご期待ください。
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