現代文最新傾向LABO 斎藤隆

入試現代文の最新傾向を分析し、次年度の傾向を予測する大胆企画

デモクラシーの諸問題/2018予想論点/体系的総整理⑤ 

(1)はじめに

 

(今回の記事の記述は太字にしました)

(赤字は当ブログによる「強調」です)

(青字は当ブログによる「注」です)

 

 今回の記事では、「デモクラシー」・「民主主義」に関連する当ブログの今までの記事を、体系的に整理して、紹介していきます。

 適宜、「新情報」も追加します。

 

 なお、このような「政治的問題」は、政治的思想調査、政治的踏み絵になりかねないので、大学入試現代文(国語)・小論文に出題されない、と考えている人がいるようです。

 しかし、そうしたことは、ありません。

 最近でも、 慶応大学法学部・小論文で、かなりの「政治的問題」と言える「日本の戦後補償問題」が出題されています。

 

 今回の論点を考察する際には、以下の視点が重要になります。

「 近代の政治哲学は、行政に対する鋭敏な感覚をもちつつも、やはりそこでは立法権中心主義とでも言うべき視座が支配的であった。それゆえに、主権を立法権として定義することの問題点は十分には考察されてこなかった。だが、実際の統治においては、行政が強大な権限を有している。

 ならば、主権はいかにして行政と関わりうるか、主権はいかにして執行権力をコントロールできるか、これが考察されねばならない。」
 (『近代政治哲学』國分功一郎)

 

 なお、今回の記事の項目は以下の通りです。

 

(2)デモクラシーの沿革

(3)リベラルアーツ/ソクラテス的思考

(4)ポピュリズム、大衆民主主義、トランプ現象

(5)日本のデモクラシーの諸問題

(6)グローバル化、グローバリズム、グローバリゼーション

(7)「民主主義」・「自由」に対する脅威/「監視社会」・「全体主義的傾向」

(8)平和と戦争

 

(2)デモクラシーの沿革

 

①  「民主主義」・「デモクラシー」→「言語を使う競技」/《予想問題「スポーツと民主主義」『反・民主主義論』(佐伯啓思)》

  

gensairyu.hatenablog.com

 

 佐伯氏は、「デモクラシーの沿革」を論じた後に、「トランプ現象」の解説をしています。

 この記事の冒頭部分を引用します。


……………………………

 

(引用開始)

(佐伯氏の論考)(概要です)  

「【1】スポーツとは『ディス・ポルト』から出た言葉である。『ポルト』とは『停泊する港』あるいは、『船を横づけにする左舷』という意味だ。『ディス』はその否定であるから、『ディス・ポルト』とは、停泊できない状態、つまり、秩序を保てない状態であり、はめをはずした状態、ということになる。
   
【5】いうまでもなくオリンピックは古代ギリシャ起源であり、ギリシャ人はスポーツを重んじた。争いを様式化し、競技を美的なものにまで高めようとした。そしてギリシャでは『競技』が賛美される一方で、ポリスでは『民主政治』が興隆した。民主主義とは、言論を通じる『競技』だったのである。肉体を使う競技と言語を使う競技がポリスの舞台を飾ることになる。

【6】古代のギリシャ人を特徴づける特質のひとつはこの『競技的精神』なのである。スポーツと政治は切り離すべきだ、などとわれわれはいうが、もともとの精神においては両者は重なりあっていたのであろう。」

(引用終了)

 

 

日本の思想 (岩波新書)

 

 

 

(3)リベラルアーツ/ソクラテス的思考

 

 ①  丸山真男の思想/《予想問題・丸山真男『日本の思想』Ⅳ「である」ことと「する」こと①》

 

 デモクラシー、民主主義を支える国民に必要な一般教養が「リベラル・アーツ」です。

 

gensairyu.hatenablog.com

 

 上の記事のポイントの一部分を引用します。


……………………………

 

(引用開始)

(2)「『である』ことと『する』こと」の解説ー東大・上智大・学習院大の入試問題を参照しつつ

 

(丸山真男氏の論考)

 「【1】学生時代に末弘厳太郎先生の法の講義をきいたとき「時効」という制度について次のように説明されたのを覚えています。金を借りて催促されないのをいいことにして、ネコババをきめこむ不心得者がトクをして、気の弱い善人の貸し手が結局損をするという結果になるのはずいぶん不人情な話のように思われるけれども、この規定の根拠には、権利の上に長くねむっている者は民法の保護に値しないという趣旨も含まれている、というお話だったのです。この説明に私はなるほどと思うと同時に「権利の上にねむる者」という言葉が妙に強く印象に残りました。いま考えてみると、請求する行為によって時効を中断しない限り、たんに自分は債権者であるという位置に安住していると、ついには債権を喪失するというロジックのなかには、一民法の法理にとどまらないきわめて重大な意味がひそんでいるように思われます。

【2】たとえば、日本国憲法の第十二条を開いてみましょう。そこには「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、〔イ=国民〕の不断の努力によって、これを保持しなければならない。」と記されてあります。この規定は基本的人権が「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」であるという憲法第九十七条の宣言と対応しておりまして、自由獲得の歴史的なプロセスを、いわば〔ロ=将来〕に向かって投射したものだといえるのですが、そこにさきほどの「時効」について見たものと、いちじるしく共通する〔ハ=精神〕を読みとることは、それほど無理でも困難でもないでしょう。」

(引用終了)

 

②  ソクラテス的思考/「2017慶大経済小論文・解説・論点的中報告④・ソクラテス的思考」

 

gensairyu.hatenablog.com

   

 上の記事のポイントの一部分を引用します。


……………………………


(引用開始)

(1)2017慶應大学経済学部・小論文・問題解説

(問題文本文)(概要です)

【1】「吟味されない人生は生きるに値しない」とソクラテスは公言していました。彼はこうした批判的問いかけという理想への忠誠を貫いたために命を落としたのです。今日では、ソクラテスの例が西洋における伝統的なリベラル教育の理論と実践の中心をなしています。伝統や権威を盲信するのではなく、自分自身で考え議論するソクラテス的なやり方で、議論する能力が、デモクラシーにとってかけがえのないものです。」

(マーサ・C.ヌスバウム著、小沢自然・小野正嗣訳、『経済成長がすべてか?━━デモクラシーが人文学を必要とする理由』)

(引用終了)

 

経済成長がすべてか?――デモクラシーが人文学を必要とする理由

 

 

 

 ③  リベラルアーツ教育/「予想問題・『文系学部解体』室井尚・『日本の反知性主義』(2)」

  

gensairyu.hatenablog.com

 

 上の記事のポイントの一部分を引用します。


……………………………

 

(引用開始)

 最も注目したのは、第4章「大学が崩壊する」の冒頭の『溶解する大学』以下の論考です。

 以下に概要・解説を書いていきます。

 

 (5)「大学が崩壊する」の概要・解説④ー自分の頭で何も考えないような「人材育成」に反対

 【概要④】

「  教養教育やリベラルアーツ教育(当ブログによる注→「リベラルアーツ」=人間性を豊かに育成する幅広い知識、物事の専門的追求の土台となる基礎的学問の総体。日本語では一般的に『教養』と訳される)が大切だというのは、さまざまな考え方を学ぶことで、自分がそれまで自由に考えていなかったこと、さまざまなイデオロギーや因襲に縛られていたということに対する『自覚』や『気づき』を与えてくれるから大切なのである。」

(引用終了)



(4)ポピュリズム、大衆民主主義、トランプ現象

 

①  ポピュリズム/「2017早大現代文・学習院大現代文・論点的中報告③・ポピュリズム」

 

gensairyu.hatenablog.com

 

 上の記事のポイントの一部分を引用します。

 

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(引用開始)

(2)2017早稲田大学政経学部ー『権力の読み方』萱野稔人

 2017年度の早稲田大学政経学部・国語(現代文・評論文)では、入試頻出著者の萱野稔人氏の、以下のような論考が出題されました。

 最初の段落は、以下のような内容です。

(【1】【2】・・・・は当ブログで付記した段落番号です)

 

「【1】現代のポピュリズム運動には、『国家はわれわれのたちに治安を守るべきだ』という要求が込めらている。一義的には国家のためのものである治安を、なぜ民衆がみずからのために国家に対して要求するのか、あるいは要求できるのか。」

 

 最後の段落は、以下のような内容です。

【16】ポピュリズムによる『国家への呼びかけ』は、現在の国家の脱国民化にたいするひとつの反作用にほかならない。その運動をうみだしている不安感は、国民国家のもとでむすばれていた民衆と国家のセキュリティ上の絆がほころびつつあることに起因している。そのほころびをむすび直そうとしてポピュリズムは、国民であるための核となる人種的アイデンティティへますます傾斜しているのだ。」(萱野稔人『権力の読み方』)

(引用終了)

 

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 さらに、上の記事のポイントの一部分を引用します。

 

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(引用開始)

(3)2017早稲田大学法学部ー『離脱と移動』西谷修

 早稲田大学法学部では、入試頻出著者である西谷修氏の論考(『離脱と移動』)が出題されました。

 この論考は、(主に、ポピュリズムにおける)「ナショナリズム(国家主義)への依存」を強く批判しています。

 この問題も、最近の「トランプ現象」・「イギリスのEU離脱」などのポピュリズムにおける「排外主義」を意識した出題と思われます。

 以下に問題本文の最終部分の一部を引用します。

 

(【最終段落】は当ブログで付記した段落番号です)

【最終段落】いま「クレオール」と呼ばないれて注目されるこの世界は、起源の不在を出発点とし、世界の各地から多様な要素を受け入れて複合的に形成され、みずからがつねに変成の途上にあることを意識している。そこではアイデンティティとは、どんな単一の起源や本質に還元されるものでもなく、それ自体複合的なものとして形成され、そのつど編み直される帰属のバランスのことだ。カリブ海の経験が、現在の世界のモデルになるとは言わないが、そこにひとつの先例を見ることはできる。たぶん長い射程で考えれば逆行できないだろうこの「移動の時代」に、それに見合った住まい方を見いだすには、『危機』を唱えて身構える(→当ブログによる「注」→「トランプ現象」)より、未知の状況に積極的に対処する創意(→当ブログによる「注」→「異文化理解」・「異文化との共生」の意欲・工夫)こそが必要だろう。」(西谷修『離脱と移動』)

 (引用終了)



②  大衆民主主義/「『君たちが知っておくべきこと』佐藤優③・現代文・小論文予想出典」 

 

gensairyu.hatenablog.com

 

 上の記事のポイントの一部分を引用します。


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(引用開始)

 白井氏は、最近、『永続敗戦論』『日本劣化論』等注目すべき著作を発表している思想史家、政治学者です。

 これから、難関大学の現代文・小論文に、出題されることが予想されます。

 

 白井氏の「反知性主義、その世界的文脈と日本的特徴」は、2016年大阪大学国語(現代文・評論文)に出題されたので、ここで、その一部を紹介します。

(白井氏の論考については、概要を記述します。なお、赤字は、当ブログによる強調です。)

「【1】リチャード・ホーフスタッター(→当ブログによる注→アメリカ合衆国の政治史家)による『アメリカの反知性主義』によれば、反知性主義とは「知的な生き方、および、それを代表するとされる人びとに対する憤りと疑惑」であり、「そのような生き方の価値を極小化しようとする傾向」と定義される。私はこの一般的な定義に同意するが、ここでポイントとなっているのは、反知性主義が積極的に攻撃的な原理であるということだ。知性の本質的な意味での働きに対して侮辱的で攻撃的な態度を取ることに、反知性主義の核心は見出される。

【2】ホーフスタッターの古典は歴史研究であったのと同時に、マッカーシズム(→当ブログによる注→1950年代にアメリカ合衆国において発生した反共産主義的な社会的・政治的運動)において、その病巣を露呈させたアメリカのデモクラシーに対する分析でもあった。つまり、 反知性主義は、政治の重要なファクターである。反知性主義の類似物として、「パンとサーカス」(→当ブログによる注→権力者により無償で付与される「パン(食料)とサーカス(娯楽)」によって、市民が政治的盲目に置かれている状況。愚民化政策の「たとえ」)の標語に象徴される愚民化政策というものが古代からある。為政者が、大衆が持つ知性への憎悪を操作・利用して動員し、それによって政敵を武装解除するということは、歴史上無数に繰り返されてきたに違いない。

【3】~【5】 (この記事「デモクラシーの諸論点/2018予想論点/体系的総整理⑤」では省略)

【6】かくして、大衆民主主義社会では、反知性主義の心情が社会の潜在的な主調低音(→当ブログによる「注」→「主調」とは「意見等の中心を構成している調子・色調」という意味)となる。」

 (引用終了)

 

③ トランプ現象/《予想問題「スポーツと民主主義」『反・民主主義論』(佐伯啓思)》

 

gensairyu.hatenablog.com

 

 上の記事のポイントの一部分を引用します。

 

……………………………

 

(引用開始)

② 「トランプ現象」については、以下のように説明しています。

「大事なことは、トランプ現象の登場は、決して反民主主義的なものではなく、それこそが民主主義そのものだということです。大衆の歓呼によって指導者を選ぶ。 一方、指導者たらんとするものは、大衆的歓呼をいかに引き出すかに腐心する、それこそが民主主義の核心にほかなりません。民主主義が大衆(デモス)による統治(クラティア)である限り、大衆の歓呼によって選出される指導者こそが民主政治の第一人者なのです。」(『反・民主主義論』P204) 

(引用終了)

 

④  ポピュリズム/「ポピュリズム・その積極的意義とは何かー2017学習院大現代文解説」

 

gensairyu.hatenablog.com

 

 上の記事のポイントの一部分を引用します。


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(引用開始)

 「ポピュリズム」の最近の論考については、2017年・学習院大学経済学部国語に出題された吉田徹氏の論考(「ポピュリズムにどう向き合う」)が分かりやすいうえに、秀逸なので、今回の記事で詳しく解説していきます。

 私が秀逸だと評価するのは、吉田氏がポピュリズムにプラス面を見出だそうとする点です。

 他の多くの論考がポピュリズムを否定する中で、吉田氏の論考は、かなりユニークです。

 

(2)2017学習院大学・現代文・解説・吉田徹「ポピュリズムにどう向き合う」 

(問題文本文)(概要です)

(【1】・【2】・【3】・・・・は当ブログで付記した段落番号です)

【1】「一匹の妖怪が世界を徘徊(はいかい)している。ポピュリズムという名の妖怪が」。マルクスの「共産党宣言」をもじった言葉がメディアで躍る。

【2】(省略)英国の具体例について

【3】(省略)南欧、東欧諸国の具体例について

【4】米大統領選予備選での「トランプ〔 ①=旋風 〕」も加わり、先進国はポピュリズムの時代を迎えている。

【5】ポピュリズムは、日本では「衆愚政治」と同義にされ、最近では「反知性主義」とも関連付けられる。しかし、本来は民主政に対する主権者の深い疑念と落胆を原動力とした政治現象だ。以下では、本質、スタイル、戦略にまたがるポピュリズムの特徴と、それを生み出す要因を3つ挙げ、代表民主政に持つ含意を探る。

(引用終了)

 

 

(5)日本のデモクラシーの諸問題

 

①  日本の教育の致命的問題点ー「ノブレス・オブリージュ」教育の欠如/「国語予想問題『プロの裏切り・プライドと教養の復権を』神里達博」

 

gensairyu.hatenablog.com

 

 上の記事のポイントの一部分を引用します。


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(引用開始)

 「ノブレス・オブリージュ」は、欧米社会の基礎的な道徳観であり、「高貴なる身分に付随する義務」を意味しています。

 すなわち、「高い地位にある者は、それにふさわしい振る舞いをしなければならない」とするものです。

 「それにふさわしい振る舞い」とは、「その身分にふさわしい高潔さ、気品、寛容、勇気」です。


 
 ② 内田樹氏の見解→悲観論 

 日本のエリートは「ノブレス・オブリージュ」を持つことができるか、については、内田樹氏の悲観論があります。以下に、引用します。

 
「  欧米の学校教育は、まだ日本の学校ほど激しく劣化していない。「何のために学校教育を受けるのか」について、とりあえずエリートたちには自分たちには「公共的な使命」が託されているという「ノブレス・オブリージュ」の感覚がまだ生きているからである。

 だが、日本の場合、東大や京大の卒業者の中に「ノブレス・オブリージュ」を自覚している者はほとんどいない。
 彼らは子どもの頃から、自分の学習努力の成果はすべて独占すべきであると教えられてきた人たちである。公益より私利を優先し、国富を私財に転移することに熱心で、私事のために公務員を利用しようとするものの方が出世するように制度設計されている社会で公共心の高いエリートが育つはずがない。
 
 結論を述べる。
 日本の学校教育制度は末期的な段階に達しており、小手先の「改革」でどうにかなるようなものではない。そこまで壊れている。」(内田樹の研究室「学校教育の終わり」2013・4・7)

(引用終了)



②  東日本大震災後の「リーダーシップ論」/「予想問題『しんがりの思想 反リーダーシップ論』鷲田清一・地域社会」

  

gensairyu.hatenablog.com

 

 入試頻出著者・鷲田清一氏の最近の「リーダーシップ論」です。

 ポイントの一部分を引用します。


……………………………

 

(引用開始)

(2)予想問題『しんがりの思想 反リーダーシップ論』鷲田清一

次の文章を読んで以下の問いに答えなさい。
 
(問題文本文)

(【1】・【2】・【3】・・・・は当ブログで付記した段落番号です)

【2】社会がいやでも縮小してゆく時代、「廃」炉とか「ダウン」サイジングなどが課題として立ってくるところでは、先頭で道を切り開いてゆく人よりも、むしろ最後尾でみなの安否を確認しつつ進む登山グループの「しんがり」のような存在、退却戦で敵のいちばん近くにいて,味方の安全を確認してから最後に引き上げるような「しんがり」の判断が、もっとも重要になってくる。実際、震災復興にあっても、ひたすら「防災」のためのハード面での公共事業に取り組むのではなく、地域が震災前から抱え込んでいた問題を見据えながら、そこでの日々の暮らしを〔A=創造的 〕に再興する取り組みと結びついた経済活性化策を講じなければならないだろうし、また、もし、そうした社会全体への気遣いや目配りができていれば、建築資材と労賃の高騰を招くことで東北での復興事業を大きく遅延させることが必定な〔B=東京五輪 〕の誘致など、だれも発想しなかっただろう。こういう全体の気遣いこそ、ほんとうのプロフェッショナルが備えていなければならないものなのであり、また、よきフォロワーシップの心得というべきものである。そして、こうした心得を、ここで《しんがりの思想》と呼んでみたい。

(引用終了)

 

しんがりの思想 ―反リーダーシップ論― (角川新書)

 

 

 

③  「現代日本」の「思考停止状態」・「反知性主義」/《予想問題・丸山真男『日本の思想』Ⅳ「である」ことと「する」こと①》

 

gensairyu.hatenablog.com

 

 上の記事のポイントの一部分を引用します。


……………………………


(引用開始)

「もしかすると、現代日本の人々は、特に、一般にインテリと言われている人々は、一時代前のインテリよりも、かなり劣化しているかもしれない」と危惧する見解もあります。

 以下に、その一例として、内田樹氏の論考(概要)を引用します。

「しかし、さまざまな市民レベルからの抵抗や批判の甲斐もなく、安倍政権による民主制空洞化の動きはその後も着実に進行しており、集団的自衛権の行使容認、学校教育法の改定など、次々と『成果』を挙げています。
 しかし、あきらかに国民主権を蝕み、平和国家を危機に導くはずのこれらの政策に国民の40%以上が今でも『支持』を与えています。長期的に見れば自己利益を損なうことが確実な政策を国民がどうして支持することができるのか、正直に言って私にはその理由がよく理解できません。

 今回の主題は『日本の反知性主義』です。ホーフスタッターの『アメリカの反知性主義』は植民地時代から説き起こして、アメリカ人の国民感情の底に絶えず伏流する、アメリカ人であることのアイデンティティとしての反知性主義を摘抉した名著でした。

 現代日本の反知性主義はそれとはかなり異質なもののような気がしますが、それでも為政者からメディアまで、ビジネスから大学まで、社会の根幹部分に反知性主義・反教養主義が深く食い入っていることは間違いありません。」(「まえがき」の中の「寄稿依頼の書面」(『日本の反知性主義』編・内田樹)所収) 

(引用終了)

 

(6)グローバル化、グローバリズム、グローバリゼーション

 

 「民主主義」と「グローバル化・グローバリズム(国際化)」・「トランプ現象」は、相互に密接に関連しています。

 

①  多文化社会/「(予想問題)『日本の反知性主義』・鷲田清一氏の論考・異文化理解」

 

 

gensairyu.hatenablog.com

 

 上の記事のポイントの一部分を引用します。

 

……………………………


(引用開始)

(2)鷲田氏の論考の概要、解説

 鷲田氏の論考について、以下、各項目に従って概要を記述し、解説していきます。

 

①分断の過剰

 鷲田氏は、以下のように述べています。

「交通・伝達の不能によって、一つの文化が崩壊する可能性は、社会が、異なる共同体・文化集団・階層が、『統合』されたものとしてある以上は、その社会につねに伏在しています。

 しかし、社会が、最終的に解体・崩壊しないのは、それらの差異を、民主制・立憲制という理念で覆いえてきたからです。

 そのような理念の一つである〈近代性〉は、〈普遍性〉を謳うものゆえに、これに従わない人たちを否認・排除してしまいます。

 それゆえにこそ、ある社会を構成する複数文化のその《共存》のありようが、きわめて重要になります。

 この《共存》の可能性を、社会の諸構成部分のあいだの『摩擦』の中に見ることは、できないでしょうか。

 『摩擦』による刺戟の偏在が、何よりも平和の保障なのです」

 

「知性的」ということの意味

 鷲田氏は、以下のように述べています。

「知性的になれば、世界を理解するときの補助線・参照軸が増殖し、世界の理解は、ますます煩雑になってくるのです。

 世界が壊れないためには、煩雑さに耐えることが、何より必要です。

 煩雑さとは、『手続き、規則、礼儀、調整、正義、道理』です。

 こういう共有された作法に則って、私たちは、限られた自分の視野を点検・吟味し続けてきたのです。

 そして、一つの社会・文化の解体回避のためには、これらの作法とともに、自由主義が必要不可欠なのです」

(引用終了)

 


②『観光客の哲学』/「予想問題『ゲンロン0 観光客の哲学』東浩紀・哲学・グローバリズム」

 

gensairyu.hatenablog.com

 

 上の記事のポイントの一部分を引用します。


……………………………


(引用開始)

【本書の主題→「誤配」・「観光客」】

 本書の主題は、初めに、以下のように明示されています。
「誤配こそが社会をつくり連帯をつくる。だから、ぼくたちは積極的に誤配に身を曝さねばならない」(P9)

 グローバリズムの進展と、それへの反動としてのナショナリズムの台頭という状況下で、リベラリズムの理念である「普遍性」は崩壊しています。現代の世界では、人々は、以前のようには「寛容」を他者に対して示せなくなりつつあります。
 このような、何となく居心地の悪い時代において、リベラルな思考の基本として、著者は「観光客」の概念を強く主張しています。

 

【東氏の主張する「観光客」とは何か】

 本書冒頭で、東氏は、前著の『弱いつながり』を要約して、次のように説しています。
「ぼくは2014年に『弱いつながり』という小さな本を刊行した。そこでぼくは、村人、旅人、観光客という三分法を提案している。人間が豊かに生きていくためには、特定の共同体にのみ属する『村人』でもなく、どの共同体にも属さない『旅人』でもなく、基本的には特定の共同体に属しつつ、ときおり別の共同体も訪れる『観光客』的なありかたが大切だという主張である。」(P14)


 

【なぜ、「観光客」的なあり方が重要なのか】

(以下省略)

(引用終了)



(7)「民主主義」・「自由」に対する脅威/「監視社会」・「全体主義的傾向」

 

①  監視社会/《予想問題・「である」ことと「する」こと②・『日本の思想』丸山真男②》

 

gensairyu.hatenablog.com

 

 上の記事のポイント部分を引用します。

 

 ……………………………

 

 (引用開始)

 「監視社会」も、「自由」との関係で、最近の流行論点・テーマになっています。

 「監視社会」に関する論考として、頻出著者の古東哲明氏の論考(概要)を、以下に紹介します。

 

「電子光学技術(人工衛星・情報収集技術網)による「パナプティコン(一望監視システム)」が追い打ちをかける。世界規模での「警察化(監視化)」が進行する。世界全体が「一大監房」と化する。自由を奪われ「拘禁」されているという閉塞感情が瀰漫(びまん)する。〈今ここ〉で生きているこのリアルな空間や光景を喪失することを通じ、抑圧的で不自由な生存を獲得する。」(古東哲明『瞬間を生きる哲学』)

(引用終了)

 

②  共謀罪と監視社会(その1)/「予想問題ー共謀罪と監視社会ー自由・人権・民主主義を守るためには」

 

gensairyu.hatenablog.com

 

 

 上の記事のポイントの一部分を引用します。


……………………………


(引用開始)

 

(1)なぜ、この記事を書くのか?

 現在、最近成立した共謀罪(テロ等準備罪)の様々な問題性を指摘する論考が、数多く発表されています。

 入試対策上、それぞれの論考に目を通すことも重要です。

 しかし、このような場合には、個々の専門的・技術的な論点よりも、「自由・人権・民主主義の価値」、「脆さ・弱さを内在している『自由・人権・民主主義』をいかに確保するか」、という論点が出題されることが多いのです。

 そこで、入試現代文(国語)・小論文対策として、これらの論点を以下に解説していきます。

  

(2)共謀罪(テロ等準備罪)の問題性ー「監視社会」の可能性、萎縮効果

   「共謀罪(テロ等準備罪)の問題性」に関しては、以下の点が主張されています。

 実際に、どのようになっていくか、については、これからの政府の運用実態、歴史の推移を注視していく必要があるでしょう。

 

①  「監視社会」化の可能性

②  萎縮効果ー活気がなく、創造性に乏しい、発展性のない社会になりかねない

③  萎縮効果の具体例ー政府の方針に科学的観点から反対することが抑圧される可能性がある

(引用終了)



③  共謀罪と監視社会(その2)/「予想問題・共謀罪(テロ等準備罪)ー賛成説・反対説のそれぞれの理由」

 

 

gensairyu.hatenablog.com

 

上の記事のポイントの一部分を引用します。


……………………………


(引用開始)

(1)なぜ、この記事を書くのか?

  「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を設ける「改正組織犯罪処罰法」は、与野党の激しい駆け引きの末、2017年6月15日に成立しました。安倍晋三首相は「テロを未然に防ぐために、国際社会としっかり連携したい」と意義を強調しました。
 しかし、「特定秘密保護法」、「安全保障関連法」に続き、世論の賛否が分かれた中で、この法案を強引に成立させた安倍政権の手法に、野党側は「民主主義軽視」と主張しています。

 それ以外に、有力な憲法学者、刑法学者、国際法学者、危機管理学者、政治哲学者、法哲学者、文学者等も、この法案に関して、多くの反対説、賛成説の論考・見解を発表しています。

 この共謀罪(テロ等準備罪)は、内心の自由、思想・良心の自由、表現の自由、プライバシー、監視社会、グローバル化のマイナス面、テロ、安心・安全、危機管理という重大な論点に関連しているからです。

(引用終了)



④  「全体主義的傾向・風潮」・「エコ・ファシズム」/《予想問題・「である」ことと「する」こと②・『日本の思想』丸山真男》

 

gensairyu.hatenablog.com

 

上の記事のポイントの一部分を引用します。


……………………………


(引用開始)

 (3)まず、「自由」・「民主主義」を侵害する危険性の高い事柄を検討します

 ここでは、まず、「自由」・「民主化義」を侵害する危険性の高い事柄について、鷲田清一氏の論考(『わかりはやすいはわかりにくい?』ちくま新書)を参照しながら、検討します。

 以下に鷲田氏の論考(概要)を引用します。

 

「正面からはなかなか反対しにくい問題というのが、いまの社会には意外と多くある。

 たとえば「エコ」。環境保護がめざす人類文明のサステイナビリティ(持続可能性)について言えば、人類文明が育んできた諸価値のうちのいったい何をサステイン(維持・育成)するのかについて、突っ込んで議論されてきたとは思えない。くわえて、地球温暖化が科学的に実証されたことなのか・・・・・・。こうした問いよりも、それを大きな声では発しにくい空気(→まさに、「全体主義的風潮」)のほうが、わたしにははるかにリアルに迫っている。

 「安心・安全」がいかに監視社会の深化と連動しているかの指摘も、何かひねくれ者の発言であるかのように受けとられる。」(鷲田清一『わかりやすいはわかりにくい?』第13章「わかりやすいはわかりにくい?」)

(引用終了)

 

(8)平和と戦争

 

①  平和・戦争/「注目図書『私たち、戦争人間について』『キリスト教と戦争』石川明人」

  

gensairyu.hatenablog.com

 

上の記事のポイントの一部分を引用します。

 

……………………………

 

(引用開始)

(1)なぜ、この記事を書くのか?

 現代は、戦争の危機が切迫してきている時代です。このような時こそ、単に「平和」を祈るだけではなく、「戦争」・「平和」について、より具体的に主体的に考えるべきでしょう。

 この問題を考察するきっかけとなる良書(『私たち、戦争人間について: 愛と平和主義の限界に関する考察』石川明人)が最近、発行されたので、注目図書、予想出典として、今回の記事で紹介します。

 (引用終了)

 

②  永遠平和/「予想出典・『永遠平和のために』カント・平和・移民問題・グローバル化」

 

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 上の記事のポイントの一部分を引用します。


……………………………


(引用開始)

(1)なぜ、この記事を書くのか?

 最近では、民族紛争・宗教対立・英国のEU離脱・トランプ現象など、国際関係・外交問題・グローバル化関連のニュース・論考が非常に多くなっています。

 最近の大学入試国語(現代文)・小論文でも、これらに関連する政治哲学・政治学関連の論考の出題が増加しています。

 その際に、大哲学者カントの『永遠平和のために』が引用されたり、論考の対象になることが多いのです。

 従って、教養・予備知識として、カントやこの本について知っておくことは、国語(現代文)・小論文対策として、大切なことだと思います。

 (引用終了)

 

③  平和主義/「予想問題『憲法9条の矛盾』平和主義・集団的自衛権・佐伯啓思」

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 今回の記事は、これで終わりです。

 次回の記事は、約1週間後に発表の予定です。

 ご期待ください。

 

    

 

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