現代文最新傾向LABO 斎藤隆

入試現代文の最新傾向を分析し、次年度の傾向を予測する大胆企画

茂木健一郎『思考の補助線』/明大(政経)・山口大現代文解説

(1)なぜ、この記事を書くのか?

 

 茂木健一郎氏は、トップレベルの入試頻出著者です。最近では、福井大学、金沢大学、山口大学、早稲田大学、明治大学、立命館大学、関西大学、青山学院大学、成蹊大学などの国語(現代文)・小論文で出題されています。
 国語(現代文)・小論文対策として、茂木健一郎氏の論考を読むことを、おすすめします。

 

 しかも、茂木氏の論考は、知的好奇心を心地よく刺激してくれる上に、人生に役立ちます。

 高校生、受験生は、最低1冊は、茂木健一郎氏の著書を読んでおくべきでしょう。

 そこで、今回の記事でも、『思考の補助線』の中の山口大学、明治大学政経学部に出題された箇所(「個性を支えるパラドックス」)(同一箇所→頻出箇所です)を解説することにしました。

 

  なお、今回の記事の項目は、以下の通りです。

 (2)茂木健一郎『思考の補助線』2017山口大学・2009明治大学(政経)現代文解説

 (3)茂木健一郎氏の紹介

 (4)当ブログにおける「個性」関連記事の紹介

 

思考の補助線 (ちくま新書)

 

 

(2)茂木健一郎『思考の補助線』2017山口大学・2009明治大学(政経)現代文解説

 次の文章を読んで、後の問に答えよ。

 

(問題文本文)

(【1】・【2】・【3】・・・・は当ブログで付記した段落番号です)

(赤字は当ブログによる「強調」です)

(青字は当ブログによる「注」です) 


【1】日本の論壇で、「個性」の行きすぎということが「戦後民主主義」とからめて批判的に議論されたときがあった。私は、そのような論者に基本的にうさんくさいものを感じて、同調するどころか、まともに取り合う気にすらならなかった。 

【2】民主主義が、否定されるべきものとして議論に出てくること自体、何を言いたいのかわからない。「戦後」という限定詞を付けたからといって、なぜそれが〔  A  〕なニュアンスになるのか? 

【3】1  「戦後民主主義」の中での「個性」や「権利」の行きすぎを論ずる論客に至っては、最低限の論理的整合性すらないように思われた。「個性」が輝いたり、「権利」が認められたほうが、よいに決まっている。「個性」や「権利」といった、人類が長い歴史の中で勝ちとってきた価値を否定的に議論している論客は、自分の論文が凡百の雑文と同等に扱われたり、財産が恣意的に没収されても、かまわないとでもいうのか。おそらくは、自分だけは例外というわけなのだろう。英訳でもしてみれば、論理構造の破綻にすぐ気づく。まさに、日本語で書かれ、日本語圏という特殊なマーケットで消費されることでしか成立しえない、ロクでもない議論であったように今でも思っている。 

【4】「個性」が社会全体の調和と相容れないというのはとりわけ粗雑な議論で、科学的に見ても間違っている。「個性」は、他者とのコミュニケーションがあってこそ、はじめて磨かれるものだからである。個性が輝いている人は、同時に他者との関係性を大切にし、社会にも貢献する人である可能性が高い。逆に、顔のない、没個性の人のほうが、よほど社会から孤立し、調和を乱す可能性が高い。社会の調和のためにも、一人ひとりが個性を磨くのがよいのである。

【5】そもそも、人格というものは他者との関係性なしでは成立しない。他者との濃密なやりとりの中に徐々に形成されていくのが私たちの人格である。河原の石ころが流されていく間に他の石とぶつかってしだいに形を変えていくように、私たち人間もまた、他者との行き交いの中に、しだいに人格をととのえていく。その中で、しだいに一人ひとりの個性が立ち上がってくる。モーツァルトが誕生し、小林秀雄が生まれてくる。 

【6】インターネットに象徴される情報化社会の高度化で、「個性」の価値はかつてなく高まっている。個性のない、均一社会の調和しか考えない人間だけが集まった国をつくっても、国際競争に勝てない時代がすでに到来している。「ビートルズ」という強烈な個性を持ったロック・バンドが登場したことによって、英国がどれだけの恩恵を得たか。マイクロソフトのビル・ゲイツや、アップル・コンピュータのスティーヴ・ジョブズのような個性的な創業者が出現していなかったら、アメリカの経済はどうなっていたか。戦後民主主義の中で個性が行きすぎたなどとする言説は、科学的な記述としてだけでなく、実体経済におけるパフォーマティヴの文脈の中でも間違っている。 

【7】個性は、他人とのやりとりの中で磨かれる。日本の中に、個性を磨くために必要なコミュニケーションが不足しているわけではあるまい。むしろ、濃厚すぎるくらいだろう。問題なのは、コミュニケーションの内実である。コミュニケーションにおける力学の働き方によっては、個性を大切にするアメリカのような国も、没個性をよしとする風潮が見られぬでもなかった一時期の日本のような国もできあがる。力学をどう設計するかが、コミュニケーションの作用を決するのである。 

【8】他者とのコミュニケーションには、お互いを同質化する契機があることも事実である。とりわけ、ティーンエージャーのときには、「ピア・プレッシャー」と呼ばれる、人と異なる見かけや振る舞いを排除しようとする傾向が顕著となる。中学の頃、ちょっと変わったことをやってからかわれたり、また、自分もからかう側に立った経験がある人も多いだろう。同化作用はコミュニケーションの中に程度の差こそあれ必ずある。それは大人になっても本質的に変わらないし、社会全体としても明確な傾向として存在し続ける。そのような同化のダイナミクスが〔  B  〕すればファシズムに通じることは歴史が証明しているところである。

【9】その一方で、コミュニケーションの効果として、個性を際立たせる効果もある。同化作用のことを考えると逆説的にも思われるが、他者との濃密な関係性を持つことが、個性を際立たせるために必要なダイナミックスを提供するのである。そのことは、作曲家としてのモーツァルトの個性が、当時のウィーンを中心とする濃密な音楽サークルがなければ成り立たなかったことを考えても明らかであろう。歴史上、文化の領域において〔  C  〕な個性の峰々が立つときには、その背後には必ずといっていいほど濃密な行き交いを内包するコミュニティがあった。

【10】コミュニケーションの持つそのような働きを「個性化作用」と呼ぶことにするとすれば、「同化作用」と「個性化作用」の分水嶺(ぶんすいれい)はどこにあるのだろうか。  3  日本人のコミュニケーションの現状が、不幸にして「個性化作用」よりも「同化作用」が勝るものであるとするならば、そのような形勢を逆転するための「賢者の石」はどこにあるのだろうか。

【11】脳は、その中にある1千億の神経細胞の間のシナプスと呼ばれる結合部位を変化させることによって、その振る舞いを変えていく。このような脳の「学習」には大きく分けて2種類ある。すなわち、正解が決まっていて、もし間違えば「教師」がそれを教えてくれる「教師あり」学習と、正解がないか、あるいは正解があったとしてもそれが何なのかを教えてくれる「教師」がいない「教師なし」学習である。

【12】「教師なし」学習のうち、重要なのは、ドーパミンをはじめとする脳内報酬物質のダイナミクスにもとづく「強化学習」である。ある行為をしたときに、結果として脳内報酬物質が放出されれば、そのことがトリガー(→本文の「注」→「引き金。きっかけ」)となり、その行為が強化される。その結果、脳内報酬物質の放出が最大化されていくのである。

【13】最終的に学習の方向性を決めるのは、あくまでも脳内報酬物質である。何をうれしいと感じるか、脳内の報酬の文化が、強化学習の方向性を決めるのである。

【14】どのような「人格」を形成するかというテーマにおける「正解」は一つではない。極端に不安定な人格を除いて、進化の淘汰圧の中でそれなりに生きのびることのできる人格にはさまざまな「解」がある。人格の形成は、脳内報酬系にもとづく強化学習の典型的な例であると考えられるのである。

【15】すでに多くの研究が示しているように、脳内報酬物質を放出させるきっかけになる外部からの刺激のうち、最も強力なものは、他人からの承認である。何かをやって、それが周囲に認められたり、ほめられたりしたときに、そのことが脳内のドーパミンをはじめとする報酬物質を放出させるのである。その結果、強化学習が成立することになる。極言すれば、脳は、「他人にほめられるように」変化していくのである。

【16】人格形成において、他人とのやりとりが重大な意味を持つことは経験に照らしても明らかであろう。コミュニケーションのダイナミクスが「同化作用」をもたらすか、それとも「個性化作用」をもたらすかの分水嶺は、お互いに他人を承認ないしは否認する価値の構造の中にある。

【17】社会の中のやりとりにおいて、他人と同じような振る舞いをしたり、最大公約数的な意見を表明した結果、周囲からポジティヴ〔 D 〕なフィードバック(→本文の「注」→「受け手から送り手へ戻ってくる反応・意見など」)を得ると、そのような「同化」のベクトルが強化されることになる。「同化」も「個性化」も、同じくコミュニケーションの現場において成立する。そもそもコミュニケーションがなければ、「同化」も「個性化」も起こりえない。

【18】冒頭に批判的に紹介した一時期の日本の論壇の風潮におけるように、「他人と同じこと」を是とし、そのような振る舞いをしたときにそれを肯定するというような報酬構造があると、社会は自然に均質化していく。一方、少し変わったことをしたほうが賞賛を得られるような状況が続くと、社会の中に個性が輝く人が増えていく。

【19】少年モーツァルトが、どのような「報酬構造」の中にいてあのような個性を輝かせたか、いうまでもないだろう。当時のウィーンの宮廷が、他人と似たような振る舞い、全体の調和を何よりも優先するというような報酬構造を持った場所であったら、天才モーツァルトができあがることもなかった。脳の働きから複雑な社会の動きを断ずるのは、乱暴なようだが、そうすることで見えてくる真実もある。現代の日本の場合、「お互いに人と違ったことをやったらほめ合おう」というくらい割り切った行動規範にしてはじめて、社会が変わるくらいのダイナミクスに結実するのではないか。

【20】ところで「個性」といっても、それは他者との絶対的な差異を意味するのではない。たとえば、文化的な領域において、個性的な作品が輝き、多くの人に賞賛されるのは、それを理解することができてこそである。モーツァルトの音楽は、当時の人々に難しいという評判だった。それでも、モーツアルトの音楽を同時代の人々が受容したのは、リズムやメロディ、構成など、当時の人々の間で共有されていた音楽の文法を身につけていたからである。

【21】ここに、コミュニケーションを通して人々が個性を磨く際のきわめて重要な問題が提起される。すなわち、人間の「個性」とは、他人とのやり取りを通して獲得される共通の基盤の上に構成されるものだということである。

【22】権利にも、いうまでもなく社会において共通の基盤がある。もともと、個人の権利が無限に認められるということはありえない。よく知られた「公共の福祉」による制約があるし、そもそも権利の保護や行使は個人では完結せず、司法制度を中核とする社会のインフラを必要とする。

【23】重要なのは、権利の制約を導く概念として持ち出される「公共の福祉」のような概念を大文字のそれとして不用意に立ててしまわないことだろう。「権利」も「個性」と同じように、人と人とのコミュニケーションにその起源を持つ。人々の権利意識もまた、脳の一般的な学習原理にもとづいて形成される。ある社会が「個性」や「権利」をどのように扱うかは、第一義的には、コミュニケーションの現場で人々が何を是とし、何を非とするかという価値観と、それを受けた脳内の報酬系のダイナミクス、そして強化学習によって決定される。

【24】他者との共通基盤があってこそ、「個性」は輝く。このパラドックスの中にこそ、コミュニケーションに支えられて今、ここにある私たち人間の本質を考えるための大切なヒントがある。(茂木健一郎『思考の補助線』による)

 

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(設問)(基礎的な問題は省略しました)

問1  空欄A~Dに入る適語を次の中から選べ。(山口大学)

① エスカレート  ② パラドックス ③ ポジティヴ  ④ ユニーク ⑤ ネガティヴ


問2  傍線部1 「『戦後民主主義』の中での『個性』や『権利』の行きすぎを論ずる論客に至っては、最低限の論理的整合性すらないように思われた」とあるが、筆者は「個性」や「権利」というものを、社会において、どのように決定されると考えているか。その説明として最適なものを次の中から一つ選べ。(明治大学)

①  脳の一般的な学習原理として社会が求めているものを快不快として判断をした上で、さらにコミュニケーションや司法制度との関わりの中で決定されると考えている。

②  他人とのやりとりを通して獲得される共通の基盤の上に構成され、さらに公共の福祉の制約があるために、司法制度を中核とする社会のインフラの整備の中で決定されると考えている。

③  公共の福祉の制約があるために無限に認めらるわけではなく、社会の中で流通している共通事項を考え、さらに人々とのコミュニケーションをすることによって決定されると考えている。

④  他者との関係性や社会に貢献することによって構成されるが、しかしそれらは個人だけの問題ではなく、司法制度を中心とする制度の中でのインフラを通して決定されると考えている。

⑤  人と人とのコミュニケーションの現場で人々が正しいとし、また何を正しくないとするかという価値観や、さらにそれを受けた脳内の報酬系の力学、そして強化学習によって決定されると考えている。


問3  傍線部2「コミュニケーションの持つそのような働きを『個性化作用』と呼ぶことにするとすれば、『同化作用』と『個性化作用』の分水嶺(ぶんすいれい)はどこにあるのだろうか」とあるが、筆者はその分水嶺をどこにあると考えているか。それを端的に示す部分を本文中より24字で探し、その最初と最後の3字ずつを記せ。(句読点も字数に含む)→(明治大学)

 

問4  傍線部3「日本人のコミュニケーションの現状が、不幸にして『個性化作用』よりも『同化作用』が勝るものであるとするならば、そのような形勢を逆転するための『賢者の石』はどこにあるのだろうか。」とあるが、筆者はその賢者の石は、どのようにしたら得られると考えているか。それを本文中の言葉を用いて50字以内で記せ。(句読点も字数に含む)→(山口大学)・(明治大学)

問5  傍線部4「他者との共通基盤があってこそ、『個性』は輝く」の具体例として、本文ではどのような例が挙げられているか。その具体例の内容を、できるだけ本文の表現を用いて40字以内で説明せよ。(山口大学)

 

問6   本文の内容と最も合致するものを次の中から一つ選べ。(明治大学)

①  モーツァルトの音楽は当時難解であるという評判もあったが、しかし同時代の人々がそれを受け入れることができたのは、人々が基本的に共有している音楽の文法や調和や同化作用があったからである。

②   脳の学習には正解が決まっていて、間違えても教師がそれを教えてくれる教師あり学習と、正解があったとしてもそれが何なのかを教えない教師なしの学習があるが、後者の方が脳には良い。

③   戦後民主主義の中で、マイクロソフトのビル・ゲイツなどの個性的な創業者が実体経済に及ぼす影響を考えても、強烈な個性あるものだけが求められている。

④   コミュニケーションにはお互いを同質化する契機があり、人と異なった見かけや振る舞いを排除しようとする傾向もあるが、その一方でお互いの個性を際立たせる効果もある。

⑤   進化の淘汰圧の中で生きのびる人格にはさまざまな「解」があるが、一方でまた強力に一つのことにこだわる力を持った人格が多いのも事実である。


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(解説・解答)

問1(空欄補充問題)

A  直前の一文の「民主主義が、否定されるべきものとして議論に出てくること」に注目してください。
B  「ファシズム」(全体主義→現在の日本の「嫌煙運動」や「オリンピック中心主義」)は、「同化のダイナミクス」が悪化・進展した状況です。
C  直後の「個性の峰々」に着目してください。
D  直後の「強化」がヒントになります。

(解答) A=⑤  B=①  C=④  D=③

 

問2(傍線部説明問題)

 効率的に問題を処理するために、本文を熟読・精読する前に、この設問を見ておくべきです。傍線部は、本文のポイントやキーセンテンスになっていることが多いのです。


【23】段落に説明があります。
「ある社会が『個性』や『権利』をどのように扱うかは、第一義的には、コミュニケーションの現場で人々が何を是とし、何を非とするかという価値観と、それを受けた脳内の報酬系のダイナミクス、そして強化学習によって決定される。」

(解答) ⑤

 

問3(傍線部説明問題・記述問題)

 効率的に問題を処理するために、本文を熟読・精読する前に、この設問を見ておくべきです。

 

 「分水嶺」とは、「雨水が異なる水系に分かれる場所」という意味です。ここから、「物事の方向性が決まる分かれ目」・「転機」・「ターニングポイント」の「たとえ」として使用されます。
この意味を確認した上で、

【16】段落の「コミュニケーションのダイナミクスが『同化作用』をもたらすか、それとも『個性化作用』をもたらすかの分水嶺は、お互いに他人を承認ないしは否認する価値の構造の中ある」の部分に注目してください。

(解答) お互い・造の中

 

問4(傍線部説明問題・記述問題)

 効率的に問題を処理するために、本文を熟読・精読する前に、この設問を見ておくべきです。

 

 傍線部の「そのような形勢を逆転するための」に着目してください。

【19】段落の「現代の日本の場合、『お互いに人と違ったことをやったらほめ合おう』というくらい割り切った行動規範にしてはじめて、社会が変わるくらいのダイナミクスに結実するのではないか」の部分を制限字数に注意して、まとめるとよいでしょう。

(解答)
今の日本人が「人と違ったことをやったらほめ合おう」というような割り切った行動規範を意識して持つ。(49字)

 

問5(傍線部説明問題・記述問題)

 効率的に問題を処理するために、本文を熟読・精読する前に、この設問を見ておくべきです。

 本文のポイント、筆者の主張、つまり、具体例と本質論を関連させて読解できているか、を問う問題です。

 

 解法としては、
【19】段落の「当時のウィーンの宮廷が、他人と似たような振る舞い、全体の調和を何よりも優先するというような報酬構造を持った場所であったら、天才モーツァルトができあがることもなかった。」、

【20】段落の「モーツァルトの音楽は、当時の人々に難しいという評判だった。それでもモーツァルトの音楽を同時代の人々が受容したのは、リズムやメロディ、構成など、当時の人々の間で共有されていた音楽の文法を身につけていたからである。」、

【21】段落の、「人間の『個性』とは、他人とのやり取りを通して獲得される共通の基盤の上に構成されるものだということである。」

という記述から、具体例としては、「天才モーツァルト」を挙げるべきでしょう。

(解答)
モーツァルトの作品が賞賛されたのは、彼が同時代の音楽の文法を共有したからだ。(40字)

 

問6(趣旨合問題)

 趣旨合致問題も、効率的に問題を処理するために、本文を熟読・精読する前に、この設問を見ておくべきです。本文を熟読・精読しながら、①~⑤に関連する段落が見つかったら、すぐにチェックするようにしてください。①~⑤さえ、チェックできれば、それでよいのです。全文を完全暗記しようとするのは、不可能ですから、やめるべきでしょう。理想主義、完全主義は、入試では有害無益です。
 また、「段落ごとの要約」、「全体の要約」をメモすることは、入試の現場では、やめた方が賢明です。時間・手間のムダです。本文を熟読・精読しつつ、重要箇所に線を引くだけで十分です。


①は、【20】段落に関連しています。「同化作用」は、「モーツァルトの音楽を同時代の人々が受容したのは、リズムやメロディ、構成など、当時の人々の間で共有されていた音楽の文法を身につけていたからである」と無関係なので、誤りです。

②は、【11】~【13】段落に関連しています。「後者の方が脳には良い」は、このような記述は本文にないので、誤りです。

③は、【6】段落に関連しています。「強烈な個性あるものだけが求められている」は、このような記述は本文にないので、誤りです。

④は、【8】・【9】段落に関連しています。この④は、【8】・【9】段落の内容に合致しているので、正解になります。

⑤は、【14】段落に関連しています。「一方でまた強力に一つのことにこだわる力を持った人格が多いのも事実である」は、このような記述は本文にないので、誤りです。

(解答) ④

 

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(出典)茂木健一郎『思考の補助線』「個性を支えるパラドックス」の全文

 

(3)茂木健一郎氏の紹介

 

茂木健一郎(もぎ けんいちろう)

1962年東京生まれ。脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、慶應義塾大学特別研究教授。東京大学理学部、法学部卒業後、 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。2005年、『脳と仮想』(新潮社)で、第4回小林秀雄賞を受賞。2009年、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第12回桑原武夫学芸賞を受賞。その他著書多数。

 

【単著編集】

『脳とクオリア   なぜ脳に心が生まれるのか』(日経サイエンス社 1997年 )

『意識とはなにか 「私」を生成する脳』(ちくま新書 2003年)

『脳と仮想』(新潮社 2004 のちに文庫化 2007年)

『脳内現象   〈私〉はいかに創られるか』(NHK出版 2004年) 

『脳と創造性 「この私」というクオリアへ』(PHP研究所 2005年)

『ひらめき脳』(新潮新書 2006年)

『欲望する脳』(集英社新書 2007年)

『感動する脳』(PHP研究所  2007年 のちに文庫化)

『思考の補助線』(ちくま新書   2008年) 

『化粧する脳』(集英社新書  2009年)

『疾走する精神  「今、ここ」から始まる思想』(中公新書  2009年)

『生命と偶有性』(新潮社   2010年)

『創造する脳』(PHPエディターズ・グループ   2013年)

『生命と偶有性』(新潮選書   2015年)

『東京藝大物語』(講談社   2015年   のちに文庫化)

『ありったけの春』(夜間飛行   2017年)

 

【共著】

『脳+心+遺伝子VS.サムシンググレート   ミレニアムサイエンス 人間とは何か』(養老孟司・村上和雄・竹内薫共著   徳間書店   2000年 のちに文庫化 )

『スルメを見てイカがわかるか!』(共著者:養老孟司 角川書店   2003年) 

『養老孟司&茂木健一郎の「天才脳」の育て方』 (アスコム)

『こころと脳の対話』(共著者:河合隼雄 潮出版社   2008年 のちに新潮文庫)

『自分の頭で考えるということ』(羽生善治共著  大和書房   2010年)

『わたしの3・11   あの日から始まる今日』(編 毎日新聞社   2011年)

『何のために「学ぶ」のか』(外山滋比古・前田英樹・今福龍太・本川達雄・小林康夫・鷲田清一共著 ちくまプリマー新書   中学生からの大学講義   2015年)

 

 (4)当ブログにおける「個性」関連記事の紹介

 

「個性」は頻出論点です。

 

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今回の記事は、これで終わりです。

次回の記事は、約1週間後に発表の予定です。

ご期待ください。

 

   

 

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思考の補助線 (ちくま新書)

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